修理について

文化財を次世代により良い状態で伝えるため、修理が必要です

文化財は、時間の経過と共に傷み、朽ちていきます。
それは物である以上仕方のないこと。
しかし、少しでもそれを失われないように、劣化を少しでも緩やかに抑え、傷みが広がらないようにしていけば、長く本来に近い姿が保つことができます。それが、保存と修理なのです。少しでも長生きをするために健康を保ち、病になった部分を治療する、医療と同じことであるとも言えるでしょう。

ものが劣化する要因には、光や湿気、塵やホコリ、虫や動物の害、はたまた空気にまで、様々な原因があります。とりわけ、日本の美術品―書や絵画の多くは、紙・絹といった非常に弱いものに描かれています。その上、四季がはっきりした気候であることから温度・湿度の変化も激しく、特別な扱い方、専門の技術が必要とされます。
修理の技と文化財は、まさしく表裏一体の存在。作品が年月を重ね、その価値を高めていくのと同時に、その作品を守るための技術も、職人が腕を磨き、時代に即して常に創意工夫がなされ、発展していきました。

日本に伝わる数多くの文化財は、何度も修復が施されることで、その姿形を守り、現代まで伝えられてきています。それは、先人たちがその作品を大切に思い、守ろうとした心の証であるともいえます。

修理の技とは、あくまで作品のためのもの。後世を担う人々により良い状態で残し、伝えていくためのものです。

伝統に固執するのではなく、受け継がれてきた優れた技、先人達の思いや作品を敬うその心は大切に受け継ぎ、同時により作品に見合った新たな技術が見つかれば、柔軟にそれを取り入れる。
守るべきものは守り、変えるべきところは変えていく。これは、古都・京都の町がもつ心意気でもあります。
京都に居を構える宇佐美松鶴堂も、その心を胸に、現在もその技術を一途に磨き続けています。


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