障壁画の修理工程(紙本著色画面を想定しています)

事前調査や修理前撮影、ドライクリーニングを行なってから下記の要領で作業を行なう。

張付け画

  1. 現場に於いて、四分一縁を取除き、本紙を下地よりめくる。
  2. 本紙の絵具の剥落止めを膠水にて充分に施す。
  3. 本紙の元の裏打紙を除去し、出来るだけ薄くした後、似寄りの補修紙にて損傷部分を補修する。
  4. 本紙の裂傷や脆弱個所には折伏を施して補強補修する。
  5. 美濃紙にて肌裏打、増裏打を施す。
  6. 補修個所には附近の地色に合わせて補彩を施す。
  7. 下地は白太杉を用いて新調する。
  8. 下地の下張りとしては次の順序にて行い良く乾燥させる。
    (骨しばり、胴掛け、蓑掛け、蓑しばり、うけかけ)
  9. 下張りの出来た下地に充分乾燥させていた本紙を張りあげる。
  10. 四分一縁を本紙の周囲に取付け仕上げる。   

襖絵

  1. 本紙の絵具の剥落止めを膠水にて充分に施す。
  2. 襖椽(襲木)、引手金具を取除き、本紙を下地よりめくり解装する。
  3. 本紙の元の裏打紙を除去し、出来るだけ薄くした後、似寄りの補修紙にて損傷部分を補修する。
  4. 本紙の裂傷や脆弱個所には折伏を施して補強補修する。
  5. 美濃紙にて肌裏打、増裏打を施す。
  6. 補修個所には附近の地色に合わせて補彩を施す。
  7. 下地は白太杉を用いて新調する。襖椽(襲木)は手入れ、清拭して再用するが、損傷が激しい場合は新調する。
  8. 下地の下張りとしては次の順序にて行い良く乾燥させる。
    (骨しばり、胴掛け、蓑掛け、蓑しばり、うけかけ)
  9. 下張りの出来た下地に充分乾燥させていた本紙を張りあげる。
  10. 椽(襲木)を下地に取付ける。
  11. 引手金具は清浄にして再用し、旧来通りの襖に取り付け仕上げる。

天井板絵

  1. 本紙の絵具の剥落止めを膠水にて充分に施す。
  2. 本紙を下地板よりめくり解装する。
  3. 本紙の元の裏打紙を除去し、出来るだけ薄くした後、似寄りの補修紙にて損傷部分を補修する。
  4. 本紙の裂傷や脆弱個所には折伏を施して、補強補修する。
  5. 美濃紙にて肌裏打、増裏を施す。
  6. 補修個所には附近の地色に合わせて補彩を施す。
  7. 天井下地の湾曲や歪みの癖を出来るだけ矯正して、従来の鉄鋲を打ち替え、また桟の弛みを裏面より補強する。
  8. 手入れの終了した下地には、順次乾燥させながら次の順序にて下張りをおこなう。
    (目張り、骨縛り、蓑掛け、蓑縛り、受掛け)
  9. 下張りの出来た下地に、充分乾燥させていた本紙を張り付け仕上げる。

最終的には修理完成総点検のあと、修理後写真撮影を行い作業完了とする。


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